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第20回 個と組織ドラッカーのマネジメントの視点(2)

前回は、ブルジョア資本主義、マルクス共産主義、ファシズム全体主義のいずれもが人間を幸せにすることができなかった。それに代わりうもの、すなわち産業社会が、「正統なる社会になりうるか」「自由な社会として成立しうるか」というドラッカーの根底にある問題意識を紹介しました。

「組織に正統性はあるのか?」ドラッカーの答えは、
「組織が働く人に対して権限を持つならば、組織は同時に、そこに働く人たちと社会に対して十分な見返りをもたらさなければならない。それは本業をもって社会に貢献し、仕事を通じて働く人を成長させることである。強みを発揮させ、弱みを意味のないことにすることである。これなくして、企業は正統性を維持しえない」です。
 
コラム写真01
それでは、マネジメントの体系を見ていきます。
ドラッカーは、「マネジメントとは一つの体系である」『マネジメント(上)』と言います。

「マネジメントの体系を理解しているならば、マネジメントのスキルに優れていなくとも、マネジメントとして、しかも一流のマネジメントとして成果をあげることができる。逆に、マネジメントの体系を理解していなければ、いかにマネジメントのスキルに優れていようともマネジメントたることができない。せいぜいスペシャリスト止まりである」

登場するのは、①組織(企業)、②個人(働く人)、③社会です。

まず、3者についてそれぞれ見ていきましょう。
①組織:ここには、「仕事のマネジメント」と「人のマネジメント」が該当します。
「マネージャーに共通する5つの仕事」を学びます。⇒コラム第21回でご紹介します。

②個人:「セルフマネジメント」トップから新入社員まですべての組織で働くうえで必要な働き方です。
「成果をあげるための5つの習慣」について学びます。⇒コラム第22回でご紹介します。

③社会:「事業のマネジメント」事業が社会に与えるインパクトを考えます。
「経営者に贈る5つの質問」を学びます。⇒コラム第23回でご紹介します。

次に、組織(企業)と個人(働く人)との関係、組織(企業)と社会との関係についてみていきましょう。

組織→個人:組織は個人に対して、位置(居場所)と役割を提供する
個人→組織:個人は組織の目標に対して貢献することによって自己実現を図る
組織→社会:組織の目的を達成することで社会に貢献する、社会に与える(負の)インパクトを最小限にし、貢献する
社会→組織:組織の存在を認める、あるいは社会からの退出を求める

次回以降、3回にわたって組織、個人、社会のマネジメントについて解説していきますが、まずは、働く人一人ひとりが「個」として確立していなければなりません。このコラムの読者の多くは、人事部門のマネージャーだと想定しています。人事部門の新人さんもいるかもしれません。

いずれにせよ、皆さんはナレッジワーカーです。ナレッジワーカー(知識労働者)という言葉を紹介して今回の結びとします。

ドラッカーは、20世紀半ば以降、労働力の主体が、マニュアルワーカーからナレッジワーカーに移行したと指摘しました。思い切って簡単に両者を比較します。
・ナレッジワーカー:自ら考え、自ら行動する人
・マニュアルワーカー:他人の指示に従って、他人の指示通りに働く人

知識労働者に関するドラッカーの言葉
「知識労働者は自らをマネジメントしなければならない。自らの仕事を業績や貢献に結び付けるべく、すなわち成果をあげるべく自らをマネジメントしなければならない」
『経営者の条件』p.21
「第一に身につけるべき習慣は、成されるべきことを考えることである。何をしたいかではないことに留意してほしい」
『経営者の条件』p.3
「知識労働者の生産性の重要性については強調しすぎることがない。知識労働者の特性は、働き手が労働力ではなく資本だというところにある。資本の働きを決めるものは費用の多寡ではない。量でもない」
『ネクスト・ソサエティ』p.180

次回「第21回 個と組織ドラッカーのマネジメントの視点(3)」は9月20日掲載の予定です。
大庭純一

Jerry O. (大庭 純一)
1956年 北海道室蘭市生まれ、小樽商科大学卒業。静岡県掛川市在住。
ドラッカー学会会員。フリーランスで、P.F.ドラッカーの著作による読書会、勉強会を主催。
会社員として、国内大手製造業、外資系製造業、IT(ソフトウェア開発)業に勤務。
職種は、一貫して人事、総務、経理などの管理部門に携わる。社内全体を見通す視点、実働部隊を支える視点で、組織が成果をあげるための貢献を考えて行動をした。
・ISO9000s(品質)ISO14000s(環境)ISO27000s(情報セキュリティー)に関しては、構築、導入、運用、内部監査を担当。
・採用は新卒、キャリア、海外でのエンジニアのリクルートを担当。面接を重視する採用と入社後のフォローアップで、早期離職者を出さない職場環境を実現。
・グローバル化・ダイバーシティに関しては、海外エンジニアの現地からの直接採用、日本語教育をおこなう。日本人社員に対しては、英語教育を行う。
・社内教育では、語学教育のみならず社内コミュニケーションの活性化、ドラッカーを中心としたセルフマネジメント、組織マネジメント、事業マネジメントを指導。

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