【人事よ、臆せずススメ!】第11回 社内(部内)勉強会のススメ(2)
「手作りの部門内勉強会(2)最初のテーマ」
会社のTOPの合意とチームメンバーの同意を取り付けて、最初に取り組んだのは、スピーチの練習を意識したテーマです。
事務管理部門の業務を考えると、営業職のように顧客と話すことはなくても、銀行・関係する官公庁・お取引先などと話す機会は多くあります。受け答えの仕方によっては、会社の信用にもかかわります。また、社内の制度などを社員に説明する役割もあります。いかに要領よく話し、説明するか?これによって社内での部門としての評価、個人の評価も決まってきます。それだけ社内の目は厳しいものがあります。
まずは、「自信をもって、自らの考えを相手にわかりやすくかつ正確に伝える」ことを目標に掲げました。もう少し具体的に言うと、「プレゼンテーション」と「スモールトーク」の技術の習得と向上です。
大きなテーマを決めて、その中でメンバー各自が自分の好きなテーマで20分間の持ち時間でプレゼンテーションをすることにしました。テーマは「アジアの国々から以下国を選んでその国の歴史・文化・政治・現在の生活を紹介する」としました。 当時、社内には外国人技術者(アジア3か国)が在籍していましたし、社員の海外出張も多くなり、またメンバーの中には休暇を使って旅する者もいました。そういった意味でタイムリーかつ面白いテーマになりました。
いざ、20分のプレゼンテーション、プラス質問10分に対応するとなると、その準備が大変であることが解りました。初回は、短時間しか持たず、途中で切り上げてしまう者もいましたが、2巡、3巡とするうちに資料作成、ストーリー展開、質問への対応もうまくなってきました。他のメンバーがうまくいったところをどんどん取り入れることによって、毎週毎週レベルの向上が図られました。それと同時に、メンバー全体が楽しんで取り組むようになりました。さらに、噂を聞きつけた他部門の長が見物に来たこともありました。
残りの30分は、インターネットを使ってTED(*)のビデオを鑑賞しました。実際のスピーカーのように、舞台を縦横に歩きまわってのスピーチはまねできません。しかし18分という決められた時間内で、テーマについて伝えたい内容を伝えきる話術、画像(パワーポイントなど)の使い方、発声(テンポ、間、抑揚)など学ぶ点は満載でした。
こうして、3巡(一人当たり3回)したところで、半年が経過し、いよいよ本題の勉強会に移行しました。(これについては次回に書きます)また、私がもっぱら引き受けていた来客対応にもメンバーを同席させる、採用での会社説明にメンバーを抜擢するなど、実践を積み重ねていきました。最初のハードルを、低く設定したこと、楽しみながら参加できること(担当のスピーカーの準備は大変な労力でした)、自分も他のメンバーも上達ぶりが目に見えたことが、うまくスタートして継続できたものと考えています。
(*)TED T:Technology,E:Education,D:Design という3分野に関して、世の中に広める価値のあるアイデア(the Idea Worth Spreading)を18分間の持ち時間でスピーチする世界的なイベント。
ビル・ゲイツ、ジェフ・べゾス、アル・ゴアなど世界の著名人が最上級のプレゼンを披露している。 TEDの地域レベルのイベントとして、TEDxがある。近いところでは、TEDxHAMAMATSU(浜松市)、TEDxSHIMIZU(静岡市)が開催されている。
次回「第12回 社内(部内)勉強会のススメ」は7月28日掲載の予定です。
Jerry O. (大庭 純一)
1956年 北海道室蘭市生まれ、小樽商科大学卒業。静岡県掛川市在住。
ドラッカー学会会員。フリーランスで、P.F.ドラッカーの著作による読書会、勉強会を主催。
会社員として、国内大手製造業、外資系製造業、IT(ソフトウェア開発)業に勤務。
職種は、一貫して人事、総務、経理などの管理部門に携わる。社内全体を見通す視点、実働部隊を支える視点で、組織が成果をあげるための貢献を考えて行動をした。
・ISO9000s(品質)ISO14000s(環境)ISO27000s(情報セキュリティー)に関しては、構築、導入、運用、内部監査を担当。
・採用は新卒、キャリア、海外でのエンジニアのリクルートを担当。面接を重視する採用と入社後のフォローアップで、早期離職者を出さない職場環境を実現。
・グローバル化・ダイバーシティに関しては、海外エンジニアの現地からの直接採用、日本語教育をおこなう。日本人社員に対しては、英語教育を行う。
・社内教育では、語学教育のみならず社内コミュニケーションの活性化、ドラッカーを中心としたセルフマネジメント、組織マネジメント、事業マネジメントを指導。