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【人事よ、臆せずススメ!】第10回 社内(部内)勉強会のススメ(1)

手作りの部門内勉強会(1)メンバーの反対を押し切って時間を確保
今回から、3回シリーズで部門内の勉強会について書いていきます。これは、全社的な階層別研修や新任管理者研修といった制度にのっとったものではなく、あくまで読者である人事部門の担当者の皆さんが自部門で行う勉強会をイメージしています。
 

今この時期に「勉強会をやってみましょう。」などと書くと、「働き方改革」の掛け声のもと自部門の残業はダメ、他部門に対する指導や法令順守の徹底をしなければならない中でそんなことやっている場合ではない、とお叱りを受けそうです。
しかし、短期間での効果と長期的な人材育成に成功した例をお話しします。
 

一か月の所定労働時間は、大体180時間でしょう。毎週1回1時間(月4時間)を勉強会に使うとすると、2.5%です。3MやGoogleなどは20%ルールと言って、仕事とは直接関係のない活動に時間を使うことを認め、奨励しています。世界の超一流企業を例に出すのはズルいのですが、私はメンバーの反対(心配・不安、呆れ)を押し切って実行することにしました。(決して高圧的な上司ではないのですが、ここは譲りませんでした)
 

「2.5%の生産性改善が出来なくて、今後人員削減を余儀なくさせられるような危機がやってきたとき対応できるのか!そのためには、メンバー一人ひとりがしっかりと成長していける環境をつくるのが自らの使命である!」という強い想いがありました。

コラム写真01

本題の勉強会です。
時間内に行うことについて、他の部門から当然のように「何をやっている?」「時間外にやるべきだ」などの雑音が予想されました。
私は、会社のトップにあらかじめ週一回の時間内の勉強会の実施、残業を増やさない、1年後に成果発表をすることの3点を約束し、承認と支持を取り付けておきました。メンバーは、トップの了解があること、成果が上がらなくても責任は上司である私がとると宣言したことで同意してくれました。
 

私が最終目標としていたことは「ドラッカーのセルフマネジメントを理解して実践できるようになる」ということでした。事業のマネジメントでもなく、組織(部門)のマネジメントでもありません。一人ひとりが、成果をあげる習慣的な能力を身につけて、組織に貢献できるようになることです。いつも例に挙げている『経営者の条件』には、以下のように書かれています。
 

成果をあげるために身につけておくべき習慣的な能力は5つある。
(1) 何に自分の時間がとられているかを知ることである。残されたわずかな時間を体系的に管理することである。
(2) 外の世界に対する貢献に焦点を合わせることである。仕事ではなく成果に精力を向けることである。「期待されている成果は何か」からスタートすることである。
(3) 強みを基盤にすることである。自らの強み、上司、同僚、部下の強みの上に築くことである。それぞれの状況下における強みを中心に据えなければならない。弱みを基盤にしてはならない。すなわちできないことからスタートしてはならない。
(4) 優れた仕事が際立った成果をあげる領域に力を集中させることである。優先順位を決めそれを守るよう自らを強制することである。最初に行うべきことを行うことである。二番手に回したことは全く行ってはならない。さもなければ何事もなすことはできない。
(5) 成果をあげる意思決定を行うことである。決定とは、つまるところ手順の問題である。そして、成果をあげる決定は、合意ではなく異なる見解に基づいて行なわなければならない。もちろん数多くの決定を手早く行うことは間違いである。必要なものは、ごくわずかの基本的な意思決定である。あれこれの戦術ではなく一つの正しい戦略である。
『経営者の条件』pp43-44
 

また、上記『経営者の条件』が著された約40年後の、2004年6月のハーバードビジネスレビュー誌への投稿記事では、上記5つの習慣を8つにして説明しています。こちらも参考のため書いておきます。

(1) なされるべきことを考える
(2) 組織のことを考える
(3) アクションプランを考える
(4) 意思決定を行う
(5) コミュニケーションを行う
(6) 機会に焦点を合わせる
(7) 会議の生産性をあげる
(8) 「私は」でなく「私たちは」を考える
 

さらに、もう一つおまけを加えたい。あまりに重要なことなので、原則に格上げしたいくらいである。
聞け、話すな、(Listen first, speak last.) である。
 

しかし、勉強会の最初では、ドラッカーには全く触れませんでした。何から始めたか?どのように始めたかは、次回にお話しします。
 

勉強会をスタートして半年余りたった頃に、立て続けに2名の社員が長期休暇(産休・育休)に入ることになり7名のスタッフが5名になってしまいました。危機です。しかし、勉強会は継続させました。このあたりの生産性改善の話は、今後「生産性」のテーマを取り上げる時に詳しく説明します。
 

次回「第11回 社内(部内)勉強会のススメ」は7月25日掲載の予定です。

大庭純一

Jerry O. (大庭 純一)
1956年 北海道室蘭市生まれ、小樽商科大学卒業。静岡県掛川市在住。
ドラッカー学会会員。フリーランスで、P.F.ドラッカーの著作による読書会、勉強会を主催。
会社員として、国内大手製造業、外資系製造業、IT(ソフトウェア開発)業に勤務。
職種は、一貫して人事、総務、経理などの管理部門に携わる。社内全体を見通す視点、実働部隊を支える視点で、組織が成果をあげるための貢献を考えて行動をした。
・ISO9000s(品質)ISO14000s(環境)ISO27000s(情報セキュリティー)に関しては、構築、導入、運用、内部監査を担当。
・採用は新卒、キャリア、海外でのエンジニアのリクルートを担当。面接を重視する採用と入社後のフォローアップで、早期離職者を出さない職場環境を実現。
・グローバル化・ダイバーシティに関しては、海外エンジニアの現地からの直接採用、日本語教育をおこなう。日本人社員に対しては、英語教育を行う。
・社内教育では、語学教育のみならず社内コミュニケーションの活性化、ドラッカーを中心としたセルフマネジメント、組織マネジメント、事業マネジメントを指導。

※無断転載は禁止します


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