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63.会議の生産性について考える(2)

前回のコラムでは、「会議の生産性を上げるためのチェックポイント」について書くと予告しました。しかし、今回は、現状のコロナ禍による緊急事態宣言下の自宅待機要請を踏まえて、会議とそれに関する仕事全体の在り方について書いていきます。「チェックポイント」や「取り入れていきたい事例紹介」は次回以降に順送りします。

企業規模、業種、企業内の職種、ロケーションなど様々な要因で受ける影響と対策は違っているでしょうが、人と人の接触を避けなければいけない事から、集まって行う会議・研修・広報活動・顧客との接触がオンラインに置き換わっています。

特徴的なのがZoomを使ったオンラインミーティングです。同様のサービスはGoogle, Facebook(Messenger),Skype などがあります。今回のコロナ禍を機に導入した企業も多いと思います。

首都圏や大都市では、公共交通機関による通勤や駅・オフィスビル(エレベーター)など密集が避けられない状況です。自宅からのリモートでの仕事を選択せざるをえないのです。
一方、静岡県の企業では、自家用車通勤が多いこともありオフィス内の感染予防対策に注力し従来通りの勤務体制をとっているところも多いようです。そうすると、首都圏・大都市圏の在宅勤務社員から県内のオフィスにいる社員に対して、多くの仕事要請があって、働き方改革どころか仕事があふれているといった悲鳴も聞こえてきます。  

今の時点で、どの様な変化が起きているのかをしっかり見ましょう。ドラッカーの言葉では「すでに起こった未来」です。
そしてコロナ禍が終息したとき(ポストコロナ禍)にどのような現実が起きているのかを考えてみます。こちらはドラッカーのいう「新しい現実」です。皆さんも考えてみてください。  

まず、現状を観察することです。今起こっていることはトレンドでしょうか、シフトでしょうか?

トレンドとは繰り返し起こる変化であり、シフトとは一度変化すると後戻りしないものを指します。
首都圏・大都市圏ではコロナ禍以前のように朝の満員電車での通勤はグッと減るでしょう。官庁ですら今までできなかった時差出勤や在宅勤務を始めています。民間企業でも今回の在宅勤務の経験から、在宅でもできることと出勤して顔を合わせて行わなければならないことの峻別ができていきます。そうなると、週5日のうち何日かは在宅、通勤は何日といった働き方になるでしょう。通勤方法、出社時間/日数においては変化(=シフト)が起きています。  

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先に書いたZoomなどはオンライン会議システムとして以前から存在していました。 私も2107年にZoomを使ってある学会の大会準備委員の打ち合わせを全国各地とやったことがありました。しかしその後は全く使うことがありませんでした。ここにきて週に5回以上のZoomミーティングがある状況です。一日に3本もこなすことがあります。日本で最も社員数が多い企業の一つ、日立製作所では数万人が自宅でリモートワークをしていると聞きました。仕事の指示、成果報告、会議の設定の実行はオンラインでなんとかできているそうです。

しかしここで出てきた問題が、在宅勤務の社員間のコミュニケーションの問題です。
日中8時間あまりシステムを繋ぎっぱなしにして、付属のチャット機能などを活用して、連絡や相談、まじめな雑談などをしているそうです。 「オンライン会議システム」を単なるミーティングに使うだけでなく、付属の機能をフルに活用して仕事上の不便からくるストレス軽減の対策を模索しています。ここにも後戻りしない変化が見られます。

よく言われることですが、「危機」という言葉は「危(crisis)」と「機(opportunity)」からなっています。危機的状況の中には、必ずのちのチャンスが潜んでいます。このコロナ禍の状況に対しては、何とかやり過ごす(場合によっては生き延びる)ことにも持てる力を集中しなければなりません。
しかし、やり過ごした後、元の姿に戻って安心する企業と、危機的状況下で変化(シフト)を見つけ対応策をとってポストコロナ禍に臨む企業とでは大きな差が出るでしょう。

感染症とのヒトとの闘いは繰り返します。第一次世界大戦下のインフルエンザ(スペイン風邪)以降、最近では2003年に流行したSARS(重症急性呼吸器症候群)、2012年に流行したMERS(中東呼吸器症候群)がありました。また何年か後には、さらに新型のウイルス感染症が流行するでしょう。一方でIT技術の進歩と仕事への適用も進んでいるでしょう。
現実を見る(観察する)目、何が起きていてどのように変化していくかを見つめるための創造力。この2つはITが人間に代わって行えないことです。  

人事(管理)部門は、現状のような危機的状況下ではとても多忙でしょうが、ここでの皆さんの舵取りいかんでポストコロナ禍のリスタートが変わってきます。どうか、健康に留意しつつ、クールな頭脳で組織運営にあたってください。
 

Topics:意見の不一致を必要とする(つづき)

スローンはGMの最高レベルの会議では、「それではこの決定に関しては、意見が完全に一致していると了解してよろしいか」と聞き、出席者全員がうなずくときには、「それでは、この問題について異なる見解を引き出し、この決定がいかなる意味をもつかについてもっと理解するための時間が必要と思われるのでさらに検討することを提案したい」といったそうである。

前回は、スローンの逸話を紹介しました。今回は意見の不一致が必要であるとする3つの理由を紹介します。
1.組織の囚人になることを防ぐため
2.選択肢を与えるから
3.創造力を刺激するから

それぞれについて、解説します。

1.会議の決定によって何らかの影響を受ける人達は、決定者から何かを得ようとしています。善意のもとに都合の良い決定をしてもらおうとします。
今流行りの「忖度」に近い感覚です。(忖度の本当の意味は「他人の心をおしはかること」であり悪い意味だけに使うものではないのですが)このような特別な要請や意図から脱するための唯一の方法が、十分検討され事実によって裏づけられた反対意見が必要なのです。

2.いかに慎重に考え抜いても、選択肢のない決定は危険です。決定には常に間違う危険性が伴います。今の時点で正しくとも、状況の変化によって間違いとなることがあります。
決定のプロセスで、他の選択肢を検討していたならば、方針転換するにあたり、セカンドベストの決定の存在、選択基準の共通理解、検討内容の記録があります。これにより先の決定が有効でなくなっても途方に暮れることは無くなります。

3.AIの活用(ビッグデータなど)によって、決定にあたり創造力よりデータをより重視する傾向があります。しかし、データとはあくまですでに起こったことをより詳細に知らせてくれるだけです。
それをいかに解釈するかが大切です。変化が激しく、不確実な問題においては、新しい状況を創り出すための創造的な答えが必要です。創造力、つまり知覚と理解が必要です。AIにはできないヒトの価値がここにあります。

鶴の一声で全員一丸となって難局を突破する、ベクトルを合わせて持てる力を最大限に発揮することなくしては競争に勝ちえないかもしれません。しかし、外部環境の変化が速く、捉えがたく、不確実な時代(いわゆるVUCA)にあって、視野が狭く単一の価値観で進むことの危険性を無視できません。

企業全体を俯瞰的に見ることのできる管理部門の社員には、社員全体を目標に向け一つの方向に向けるよう力を発揮すると同時に、常に、まわりと後ろを見て変化を見つける能力が求められます。舵取りの役割と時には非常ブレーキの役割もしなければなりません。
大庭純一

Jerry O. (大庭 純一)
1956年 北海道室蘭市生まれ、小樽商科大学卒業。静岡県掛川市在住。
ドラッカー学会会員。フリーランスで、P.F.ドラッカーの著作による読書会、勉強会を主催。
会社員として、国内大手製造業、外資系製造業、IT(ソフトウェア開発)業に勤務。
職種は、一貫して人事、総務、経理などの管理部門に携わる。社内全体を見通す視点、実働部隊を支える視点で、組織が成果をあげるための貢献を考えて行動をした。
・ISO9000s(品質)ISO14000s(環境)ISO27000s(情報セキュリティー)に関しては、構築、導入、運用、内部監査を担当。
・採用は新卒、キャリア、海外でのエンジニアのリクルートを担当。面接を重視する採用と入社後のフォローアップで、早期離職者を出さない職場環境を実現。
・グローバル化・ダイバーシティに関しては、海外エンジニアの現地からの直接採用、日本語教育をおこなう。日本人社員に対しては、英語教育を行う。
・社内教育では、語学教育のみならず社内コミュニケーションの活性化、ドラッカーを中心としたセルフマネジメント、組織マネジメント、事業マネジメントを指導。

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