第2回 早期退職を防ぐ(2)
挨拶がない、報・連・相をしてこない!
2つのテーマ、「挨拶」と「報連相」について書きます。新入社員が入社して2,3か月たったころに、社内の役員やベテラン社員から「新人の挨拶がなっていない、報連相が全くできていない!人事はどんな教育をしてるんだ!!」なんてお叱りを受けたことありませんか?
1つ目のテーマ:「挨拶」
「新人の挨拶がなっていない」このケースでは、私はこのように答えていました。
「新人から挨拶をするもんだ、なんでそんなこともできないんだ、という気持ちで怖い顔で見るから萎縮してるんです。そこはひとつ寛大な気持ちで先輩から挨拶してやってください。何回かやってみてもダメなら再度教育します」
新人もまだまだ緊張して、解っていても行動できないことが多いものです。マネージャーの集まる会議などで、人事から協力のお願いをしておくといいでしょう。甘やかすのではないこと、時間が解決しないならば厳しく指導することを伝えましょう。
こんな記事を読みました。
“若者は自分が話したことのある人には挨拶できるが、そうでない人には自分から挨拶しない傾向にある。なぜなら、子供の頃から、知らない人とは話をしてはいけないと言われて育ったから……”
まるまる受け入れることはできませんが、人事としては、そういった世相で育ってきているということも頭の片隅に置いておく必要がありそうです。
2つ目のテーマ:「報・連・相」
そもそも、新入社員が報連相の意味を理解していなければ、人事の責任で早急に再教育しなければなりませんが、でもそういったことはまずないでしょう。意味、重要性、しなければならないこと、すべて解っているのに行動が伴っていない、というのが実情でしょう。新入社員は、常に忙しそうに部下に指示し、来客対応をし、自らも外に出かけていく、そんな上司に言い出せなくなっているのです。要領よく話せないのではないか?という不安もあるでしょう。
私は、新入社員に以下のように教えていました。
「上司に対して、『あの~、今時間ありますか~』はダメ!『報告が〇件あります、1分だけ時間をください』と切り出しなさい。そうしてから『○○、○○、○○です』と項目だけ伝えなさい。30秒もかからない。また、1分時間をくださいと言われて、新入社員に1分の時間も割けない上司はいませんよ。あとは上司が報告の必要ないことは飛ばして、聞きたいことを促してくれるよ。そうすると1分のはずが1時間話を聞いてくれて、いろいろ指導くれたりもするから。まずはにかく切り出すこと!」
挨拶とおなじで、甘やかしてはいけません。しかし、入口でつまずいてそれが尾を引いて、のちのちリカバリーに労力をかけるのも大変です。「背中をそっと押して行動を促すこと」と、「ビジネスの厳しさを教えて社会人としての覚悟を問うこと」この2つのバランスを新入社員一人ひとりの個性に合わせて実行する、人を育てるコツであり、難しさでもありますね。
次回「第3回 OJT 経験学習について」は6月16日掲載の予定です。
Jerry O. (大庭 純一)
1956年 北海道室蘭市生まれ、小樽商科大学卒業。静岡県掛川市在住。
ドラッカー学会会員。フリーランスで、P.F.ドラッカーの著作による読書会、勉強会を主催。
会社員として、国内大手製造業、外資系製造業、IT(ソフトウェア開発)業に勤務。
職種は、一貫して人事、総務、経理などの管理部門に携わる。社内全体を見通す視点、実働部隊を支える視点で、組織が成果をあげるための貢献を考えて行動をした。
・ISO9000s(品質)ISO14000s(環境)ISO27000s(情報セキュリティー)に関しては、構築、導入、運用、内部監査を担当。
・採用は新卒、キャリア、海外でのエンジニアのリクルートを担当。面接を重視する採用と入社後のフォローアップで、早期離職者を出さない職場環境を実現。
・グローバル化・ダイバーシティに関しては、海外エンジニアの現地からの直接採用、日本語教育をおこなう。日本人社員に対しては、英語教育を行う。
・社内教育では、語学教育のみならず社内コミュニケーションの活性化、ドラッカーを中心としたセルフマネジメント、組織マネジメント、事業マネジメントを指導。